Embalming酸化亜鉛含浸処理
(モックル処理)
環境にもっともやさしく、
木でありながら 木の短所を補える理想の技術。
それがモックル処理です。
モックル処理とは
当社のモックル処理は、従来のように殺菌・殺虫力のある薬液を木材に注入するのではなく、薬液を木材内部で変化させて防腐・防蟻・寸法安定をもたらす改質処理であり、モックル処理された木材は、改質木材です。
主に成分は、有機酸亜鉛・ポリエチレングリコールの2成分で、加熱処理することにより互いに重合し木材に定着します(酸化亜鉛含浸処理)。
Modified Wood酸化亜鉛含浸処理
(モックル処理)は
一般の防腐処理材ではなく、
改質木材です
薬剤の成分が白蟻やカビを殺すのではなく、木材内部で重合定着し、ある種の膜をつくり、白蟻や木材腐朽菌が木材を養分として吸収することを防ぐことにより、木材の弱点を克服し改質させるところに最大の特長があります。
モックル処理液の主成分の効果
モックル処理液は、加熱・水分の蒸発により化学的に安定した難水溶性に変化します。
この化学変化により長期にわたって処理効果を維持させることができ、木材の耐用年数を延ばすことが可能となります。
モックル処理済み細胞
無処理細胞
成分 | 有機酸亜鉛 | ポリエチレングリコール |
---|---|---|
効果 | 防腐・防蟻 | 膨張・収縮率の減少 及び変色の減少 |
Light Fastnessモックル処理は耐光性に非常に優れ
木材のもつ風合いを損ないません
銅系の薬液で処理された木材は、緑色に変色してしまいます。
しかしモックル処理は、無色の薬液を使用するため、木材の色合いを保ちます。
また、溶剤には水を使用するため、異臭がすることはありません。
表面のベタツキもなく、無処理と同様に加工することができます。
さらに、木材のもつ本来の良さ(耐熱性・保温性・吸音性・吸湿性等)を長期間持続させることが可能です。
モックル処理に使用する木材は、主に国産(杉・桧)の間伐材を有効利用しており、処理された木材の耐用年数は、設置条件によって異なりますが、なにも処理を施さない木材の約3倍(10~15年)程度と見込まれております。
Eco & Safetyモックル処理は
環境に最もやさしく、安全です
モックル処理は、人体に有害とされる重金属などは使用しておりません。
使用する液の主成分に含まれている亜鉛は、生物にとって必須元素の一つとして挙げられているばかりでなく、日常生活でも多岐にわたって使用されています。
また、その他の成分も繊維や化粧品などに使用されているもので、自然に優しく、安全性も優れており普通の木材と同様に、安心してご使用いただけます。
さらに廃棄する際も、無処理材と同様に焼却処分が可能で環境汚染の心配がありません。
各成分の一般な用途
金魚を使った安全性試験
成分 | 有機酸亜鉛 | ポリエチレングリコール |
---|---|---|
効果 | ゴルフボール ベビーパウダー 紙おむつの吸収剤 | 化粧品 手あれ防止用のクリーム |
Efficacyモックル処理は
3つの効果を有します
防腐効果
モックル処理材
(スギ)
無処理材
(スギ)
写真F-1は、F-2の無処理木材と比較してモックル処理された木片の防腐性能が非常に高いことを表するものです。
試験開始後18日目(資料提供:京都大学木質化学研究所)
防腐性能試験結果 | 無処理 | 含浸 処理材 | ||
---|---|---|---|---|
重量減少率% | 耐候操作無し | オオウズラタケ | 54.44 | 1.66 |
カワラタケ | 47.76 | 0.17 | ||
耐候操作有り | オオウズラタケ | 54.44 | 0 | |
カワラタケ | 47.76 | 0 |
試験日:平成5年4月20日~6月11日
試験方法:(社)日本木材保存協会規格第3号1979
場所:京都大学木質化学研究所
木材の細胞内・細胞壁に定着したモックル処理液は、水分の蒸発・加熱により樹脂化し、空間部分の表面をコーティングします。
このことより防腐効果が非常に高められています。
防蟻効果
モックル処理材
(スギ)
無処理材
(スギ)
写真F-3は、F-4の無処理木材と比較してモックル処理された木片の防蟻性能が非常に高いことを表するものです。
試験開始後18日目(資料提供:京都大学木質化学研究所)
野外試験効果
防蟻性能試験効果 | 重量減少率% | |
---|---|---|
試験体 | 無処理材 | 含浸処理材 |
スギ | 21.38 | 1.31 |
モックル処理液がもつ防蟻性能の特色は、従来の防蟻薬剤とは異なり、処理木材に接触した蟻が薬剤のもつ毒性により死滅するものではない、というところにあります。
モックル処理液は、木の細胞組織と化学的に結合し、白蟻の養分になりにくい物質に変化します。
その結果、蟻はモックル(含浸)処理された木材には寄りつかなくなります。
寸法安定効果
乾湿繰り返し試験
吸湿試験による
寸法変化率
吸水試験による
寸法変化率
モックル処理液により処理された木材は、細胞空隙部に定着されるため体積効果を生み出します。
つまり、今まで水分が入っていた所や水分を多量に含んでいた所が含浸液と入れ換わり、難水溶性の樹脂が細胞空隙部に水の換わりに入っているのです。
木の膨張・収縮の原因である、水分の細胞への補充・蒸発をこの樹脂が減少させるため、木の短所である割れ・反り・あばれを減少させる効果があります。
Casesモックル処理された商品の
耐用年数の長さを実例で紹介
モックル処理は、減圧加圧注入によって成分を木材内部に深く浸透させるだけではなく、加熱処理により化学反応させて木材内に定着させます。
そのため、雨水による溶脱の心配がなく、長期にわたって安定した効力を発揮します。
施工時
5年後
10年後
水面上部、水面部、水面下部をカットし腐朽の調査。
約8年経過しており、カット後乾燥させたため割れたが腐りは見られない。
水面下部が黒っぽいのは、水面(粘土質)にあったため。
経年変化例
2003年施工時
2015年経過後
2023年経過後
施工時より塗装が剥がれている程度であり、耐久性に優れている効果のあらわれでもある。
Flowモックル処理の
注入方法および処理工程
モックル処理工程図
- 注入方法はJISA9002(木質材料の加圧式保存処理方法)に準ずる
- 注入工程
前排気→加圧→後排気
①材料搬入
木材(杉・桧)を受け入れる。
②材料検査、材料セット
受け入れた材料を、各等級に応じて検査を行う。
含浸槽に合わせて、材料を効率のよい大きさにセットする。
③モックル処理
- 材料を含浸槽に入れる。
- モックル処理液を、木材が浸るまで投入する。
- 減圧操作を行う。
- 所定時間の減圧操作終了後、タンク内部を常圧に戻す。
- 加圧操作を行う。
- 所定時間の加圧操作終了後、タンク内部を常圧に戻す。
- 減圧操作を行う。
- 所定時間の減圧操作終了後、タンク内部を常圧に戻す。
- モックル処理液を移送搬出する。
- モックル処理液注入済木材を、搬出する。
④養生
モックル処理剤木材を、直射日光の当たらない風通しの良い場所に保管する。
注入ムラを抑えることおよび、熱処理時間の短縮を目的とする。
⑤熱処理
乾燥炉にて蒸気加熱を行い木材内部の処理液を硬化させる。
Factoryモックル処理工場
兵庫工場
宮崎工場